初めての一目惚れ、だった【SuG 武瑠】


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9月2日、日本武道館で無期限活動休止を迎えたSuG。

私が出会ったのは2009年のKERAという原宿系雑誌がきっかけだった。


私の住んでいるところにはなかなかこういったゴスロリ系とか、パンク系の人がいなかったからかファーストインパクトはすごかった。


その雑誌の鮮やかさ、異端さに手に取り、知らない世界が広がって吸い込まれていく感覚だった。


その音楽欄にてたまたま載っていたSuG。その雑誌の中でもひときわ強烈で、目に痛いくらいの配色バランスで、私を攻撃した。


中学一年生。なんとなく生きていた中学生が頭を殴られた衝撃。


なんで、若いのに白髪なん。

ヴィジュアル系って何。

男が化粧。

なんでなんでなんで。


曲も聴いてみた。youtubeはそういう時とても便利だ。TSUTAYAに行ったけれど置いてなかった。


TSUTAYAに置いてないものなんてあるのか、ってこの時初めて思った。


インディーズというジャンルを知らなかった。テレビに出ているのが全てだと思っていた。


衣装同様曲もごちゃごちゃしていた。今では大好きな曲「LOVE SCREAM PARTY」


初めて聞いた時、何も理解できなかった。

二度目聞いた時、まず理解するものなのかと疑問を抱いた。

三度目を聞いた時、本気の言葉遊びが好きになった。


やけに耳に残った。滑らかじゃないけど、不快じゃない。焼きついた音楽だった。


彼らの作った曲は強烈な火傷を残した。私が見ていた世界はあまりにも受動的だった。


これまでは親がかけるテレビを見て、友達が可愛いといった服を買いに行き、どこまでも人任せだった。


それが自分の感性に従って能動的に生きるようになったのはきっと、彼らのおかげであった。


人生カラフル、そう言える。



この頃、こだわりを持つようになって生きにくくなったけれど、後悔はしていない。


だって、知る前より楽しいんだもの。


ボーカル、武瑠は私のヒーローだった。ヘビーポジティブロック「無理矢理前向き」は落ち込みやすい私にとって、救済するテーマだった。



憧れだった。

どこまでも。



武道館で活動休止が発表されたとき、私は仕事をその日で退職した。

仕事のことであまりにも落ち込んでいたし、鬱にもなりかけていた。そんな時にだった。



これは行かないと、私ダメになるかもしれない。

運命も感じた、私の世界を変えたあなたと同じ日にその地位を去るなんて。


絶対何かある、いかないと後悔どころか一生ダメな気がする。





武道館で見た時に、私が中学生の頃にその職に就こうと思った理由を思い出した。


助けられたから、私もそういうかっこいい人間になりたい。




そこにこだわりを持っていたはずだったのに、周りの圧力や、存在が証明できなくて辞めてしまった。


でも本当は、ルーツを見失ったからでしかなかった。


そのことに気づかせてくれるくらい彼の存在は、やはり圧倒的ヒーロー。


最後の最後まで助けてくれたんだ。


悲しいから泣くんじゃなくて、大事だから泣くっていう言葉を言った時、私はずっと上司から「お前は仕事にこだわりを持っていない」と言われていたのを思い出した。


色々やり方を変えてはうまくいかなくて、やることなすこと根こそぎ否定されて、自分でも正しい道がどれかわからないまま最終的に疑心暗鬼になって、できていたこともできなくなってしまった。


それでもまだ折れずにやっていたけれど、確認するたびに全部仕事を持っていかれて完璧になって戻ってくるそれを見ると苦しくて仕方なかった。その度に涙を流していた理由がそれだった。


仕事が大事だったからだ。

取られて、何もできなくなってしまうのがどうしても辛かった。

大事だったし、誇りだった。

そんな簡単に言わないで欲しかった。

誰よりもきっとこだわっていた。


大事だったんだ、って思った時やっと自分を許すことができたし、前に進もうと思った。


スタイルブックは彼の圧倒的な美学・こだわりが載っていた。

読み終えた時、究極に不器用な人だと思った。けれどその不器用さ、人間性とか、感性とかが人を惹きつけるんだなと思った。


初めて見た時から人生を変えてくれた、一目惚れをさせてくれる人だった。


SuGというバンドが終わったとしても、輝き続けて欲しいと切に願う。